お知らせ
大学院地球環境科学研究院 野呂教授、DAC-U 装置の実証試験を行いました。
2025.08.07
北海道大学大学院地球環境科学研究院 野呂 真一郎教授が参加しているムーンショット型研究開発事業「“ビヨンド・ゼロ”社会実現に向けたCO2循環システムの研究開発(代表:九州大学)」では、4月13日より開幕した2025年日本国際博覧会(以下、「大阪・関西万博」)において、地球温暖化対策における先進的なカーボンニュートラル技術として、プロジェクトチームが現在開発中のDirect Air Capture and Utilization装置(以下、「DAC-U 装置」)の展示および実証試験を行っており、7月18日には、野呂教授が現地で実証試験を行いました。野呂教授は、このプロジェクトにおいて高い二酸化炭素/酸素分離特性を有する新しい選択膜の開発に取り組んでいます。
現地にて(北海道大学大学院地球環境科学研究院 教授 野呂 真一郎)
・DAC(Direct Air Capture and Utilization装置)とは
DACは自然界の植物と同じように、大気中から二酸化炭素(以下、「CO₂」)を直接回収する技術です。本プロジェクトで開発中のDAC-U装置は、九州大学が開発した、食品包装用ラップの300分の1の厚みしかない極薄のナノ膜技術を活かし、空気中からCO₂を選択的に捕捉します。また、回収したCO₂を、植物の生育促進や炭酸飲料製造に利用したり、CO₂変換ユニット(utilization装置)によるメタン(都市)ガス等へ変換を行ったりすることで、日常生活の多様な場面で有効活用が可能となります。プロジェクトチームではDAC-Uの性能向上と小型化を進め、最終的には台所に置けるような家電サイズにすることを目指しています。本DAC-U装置は、1日あたり1~2kgのCO₂回収能力を持ち、一般家庭の約1日分の都市ガス使用量に匹敵するメタンガスの製造を目標としています。これにより家庭エネルギー需要の循環型供給の実現が期待できます。