Hokkaido University Green Transformation Innovation Center

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学内研究者向け【第5回GXサロン 活動報告】

2025.12.22

2025年12月19日(金)フロンティア応用科学研究棟1階SDGsオアシスにて、第5回GXサロンを開催しました。今回のテーマは「熱利用」。当日は12名が参加し、密度の高い意見交換が行われました。

■ 話題提供
● 能村貴宏教授(エネルギー・マテリアル融合領域研究センター)
日本におけるエネルギーの面的利用(地域熱供給)の重要性について提案がなされ、都市スケールでの熱利用の可能性が示されました。
● 葛隆生准教授(工学研究・環境工学部門)
北海道における再生可能エネルギー熱利用の重要性と課題が共有され、社会実装に向けた具体的な提案がなされました。
● 大沢飛智助教(工学研究院・建築都市部門)
都市の熱環境とデジタル技術を繋ぎ、エネルギー消費量や太陽光発電による発電量を予測し、可視化する取り組みを紹介しました。

■ 浮かび上がったキーワード:「面的利用」
今回のサロンでは、個別技術としての熱利用だけでなく、
キャンパス全体や都市スケールで熱を循環させる“面的利用”の視点が重要なテーマとして共有されました。熱を“点”ではなく“面”で扱うことで、局所的な効率化にとどまらず、エネルギーの偏在をならし、全体最適を実現する可能性が示されました。

■ 北欧との比較:熱を循環させる都市のデザイン
議論の中では、熱供給インフラが高度に整備された北欧諸国が比較対象として挙げられました。
デンマークやスウェーデンでは、
・地域熱供給が都市計画と一体で整備
・再エネや未利用熱を面的に循環
・排出される熱のうち未利用となる“廃熱”を価値化

といった仕組みが成熟しており、廃熱利用が関係者全員にとってメリットとなる構造が成立しています。


■ 日本で廃熱利用が進みにくい理由
一方で日本では、
・廃熱を「誰が」「どのように」利用するのかという制度的枠組みが未整備
・利用可能な廃熱が点在し、面的に集約しにくい
・建物側の空調管理が外部熱源を前提としていない

といった課題が指摘されました。また、制度設計の観点からは、排熱量に応じた利用可能性の定義や、規模に応じた排熱利用関係者の整理が必要であるとの意見も出され、こうした点が日本で廃熱利用が広がりにくい背景として挙げられました。

■ 既存インフラを“つなぎ直す”可能性
日本の都市では、建物ごとの個別空調が主流で、熱を面的に循環させる前提で都市が設計されていないため、既存インフラのみで広域的な熱利用を実現することは難しいという指摘がありました。
一方で寒冷地である北海道ならではの熱需要やインフラ条件の整備、内外に点在する既存設備を生かすことで、部分的に活用できるインフラは確かに存在しており、それをつなぎなおすことで新たな熱循環モデル構築の可能性が示されました。
また、熱利用のタイミングが季節や業種によって異なることから、余剰熱を共有することでコストを抑えながら活用できる「熱のシェアリング」の可能性も紹介されました。

サロンは、自由な対話を通じて新しい価値を生み出す場です。

今回も、熱利用をめぐる真剣な議論の中に、先生方の情熱が確かに息づいていました。
その情熱は、今回の登壇者だけでなく、日々研究に向き合う多くの研究者に共通して見られる姿勢です。
GXCでは今後も、研究者同士の横断的な交流を促し、GXに向けた新たな連携の芽を育む場として、サロン活動を継続していきます。

サロン終了後の記念撮影、右から能村貴宏教授、葛隆生准教授、大沢飛智助教

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