北海道大学グリーントランスフォーメーション先導研究センター

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第8回GXサロン 活動報告

2026.05.26

―競争領域を超えた産学官の協創:国政のキーマンが描く日本のGX戦略と針路―

産学官連携による社会実装への取り組みがいよいよ本格化する中、日本のGX領域における課題と戦略は、個々の研究の枠を超え、国家の未来を見据えた「超・長期的な社会構造の変革」へと拡大しています。

本サロンでは、サステナビリティの観点から新規事業創出による社会課題解決に長年取り組まれ、札幌市の市政アドバイザーや本学の客員教授も務められている、イーソリューションズ株式会社 代表取締役社長の佐々木 経世 氏をお迎えしました。

開催概要

日時:2026年5月21日(木)
会場:工学部アカデミックラウンジ3
参加者:23名※オンラインにて、寳金 清博 総長、瀬戸口理事・副学長 もご参加されました
内容:日本のGX課題と戦略案の一考察

佐々木社長からは、日本が直面している構造的な課題を分析いただいた上で、それを打破するための具体的な「事業プロデュース戦略」について、国に対してどのようなインプットをしているのか、極めて示唆に富むお話をしていただきました。

熱く語る佐々木社長

ご講演内容のハイライト:日本が挑むべき4つの戦略テーマ

1. エネルギー自給率の改善:国家の安全保障としてのGX

化石燃料の大半を海外に依存する日本にとって、GXは単なる環境対策ではなく、国家の「安全保障」そのものであることが強調されました。地域の自然資本(再生可能エネルギーなど)を最大限に活かし、いかにして国内のエネルギー自給率を高めていくか、そのためのインフラと市場を創出する国家規模のグランドデザインの必要性が語られました。

2. 激増する電力需要への対策:次世代産業を支える基盤構築

AI(人工知能)の急速な普及やデータセンターの増設により、今後の電力需要は爆発的に増加することが予測されています。この膨大な需要に対して、いかに「クリーンかつ安定した電力」を供給し続けるかという課題に対し、安全が確保された原子力発電の最大活用や分散型エネルギーの活用など、供給力と効率性を両立させるイノベーション戦略が示されました。

3. 自動車産業の堅持:サプライチェーンの維持とグローバル戦略

日本の製造業および雇用の中核である自動車産業を、EV(電気自動車)シフトなどの世界的な荒波の中でいかに守り、発展させるかというテーマです。単に車両を電動化するだけでなく、走行中ワイヤレス給電等の新技術を組み合わせ、エネルギー供給インフラ、電池製造、そしてサプライチェーン全体を包括した「パッケージとしての産業戦略」の重要性が指摘されました。

4. ベースメタルのサーキュラーエコノミー:資源循環による新たな市場創造

銅やアルミニウム、鉄といった「ベースメタル」は、GXインフラや電気製品に不可欠でありながら、今後の世界的な争奪戦が予想されています。これらを単なる「ゴミ」にせず、国内で効率的に回収・再資源化する「サーキュラーエコノミー(資源循環型経済)」の仕組みを、一企業の枠を超えた産官学の大きなエコシステムとして構築する戦略案が示されました。

質疑応答と意見交換

講演後の質疑応答では、ペロブスカイト電池、熱需要とインフラ、バイオマス発電等、様々な専門分野を持つ研究者から活発な質問が寄せられました。佐々木社長は、世界の最新動向や日本の現状における課題を引き合いに出し、具体的な事例を交えながら大変わかりやすく解説してくださいました。

最後に、佐々木社長から「個別の技術論にとどまらず、国全体・産業全体の『全体最適』となるルールメイキングを主導していくことが不可欠である」との明確な指針をいただき、閉会となりました。

今回のサロンで提示された4つのテーマ(エネルギー自給率、電力需要、自動車産業、ベースメタル)は、どれも北海道、そして北海道大学が持つ研究ポテンシャルと深く結びついているものです。

当センターとしても、これら日本の大課題を解決するための「知のプラットフォーム」として、社会実装に向けた産官学連携をさらに加速させてまいります。

ご多忙中にもかかわらず、熱く、具体的な戦略をお示しいただきました佐々木社長、そしてご参加いただきました皆様に心より厚く御礼申し上げます。

サロン終了後の記念撮影

左:幅崎センター長/工学研究院長       中央:佐々木社長         右:泉工学院長

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