お知らせ
第9回GXサロン活動報告
2026.06.02
「Climate Action Plan」の具現化へ:全学横断で挑むエネルギーマネジメント
「北海道大学Climate Action Plan(2026年3月策定)」に基づき、全学的な2050年カーボンニュートラル実現への取り組みが本格化しています。 本計画では、「単にエネルギーを調達するだけでなく、地域と共生できる健全なエネルギーを選択する」「教育・研究機関の強みを活かし、社会実装を目指す」という基本方針を掲げており、達成には世代や立場を超えた全学的な協働が不可欠です。
本学の2024年度のGHG排出量はScope1~3の合計で272,320 t-CO2e です。そのうち大学が直接コントロールすべきエネルギー起源の排出(Scope1・2)が約3.5割を占めており、内訳は以下の通りです。
・Scope1: 29,291 t-CO2e (11%)
・Scope2: 65,803 t-CO2e (24%)
目標である『2030年度までの51%削減』の達成に向けて、エネルギー課題の解決は最優先事項です。
これを受け、今回のサロンでは、将来の施設整備やエネルギーマネジメントをテーマに設定。研究機関としての高い安全性・信頼性を確保しつつ、この全学方針を実務と研究の双方からどう具体化するのか、部局を越えた情報交換と議論が行われました。
日時: 2026年5月27日(水) 16:00~18:00
場所: 工学部フロンティア応用科学棟 1F SDGsオアシス
タイトル: 北海道大学のエネルギー供給における課題等
参加人数: 19名

1.主旨説明および話題提供
冒頭、GX先導研究センターの石井一英教授より、本日の趣旨と本議論の位置づけについて説明がありました。
続いて関係部局より、主要施設のエネルギー運用のあり方や現状の課題について話題提供がありました。実務面の現状と超えるべきハードルが共有されました。

本サロンの主旨と議論の位置づけを説明する石井教授
2.全体質疑応答とアイデア出し(前半)
話題提供を受け、研究者による質疑応答が行われました。
工学研究院の森太郎教授や菊田弘輝准教授ら、建築環境・省エネ・エネルギーシステム等の専門家を交え、プランが目指す「地域共生型の健全なエネルギー選択」に向け、導入可能な次世代技術やインフラシステムについて話し合われました。
3.個別議論・深掘り(後半)
後半は、さらに具体的な議論へと進みました。Climate Action Planという全学的な高い目標を、実際のキャンパス運用や研究現場へと具体的に落とし込む「構造的な難しさ」も浮き彫りになりました。
主な論点として以下の3つの課題(ジレンマ)が挙げられます。
課題1:「研究・教育の高度化」と「徹底した省エネ」のトレードオフ
高い安全・信頼性が求められる最先端の実験設備を維持しつつ、いかにエネルギー消費を削減するかという、研究機関特有の二律背反へのアプローチ。
課題2:「部局の壁」を越えた空間・大型設備の共用化
厳しい財政状況のなか、全学的な適正配置や利用ルールを構築するための、制度や意識改革に伴うハードルの高さ。
課題3:「歴史あるインフラ」から「次世代技術」への転換
広大な札幌キャンパスを支えてきた従来の集中暖房方式(パワーセンター)の仕組みを活かしつつ、カーボンフリーの次世代技術へ、いかにスムーズに移行するかという技術的・コスト的課題。
理想の計画を「絵に描いた餅」に終わらせず、現場の運用に落とし込んでいくには、これらの痛みを伴うリアルな課題から目を背けず、泥臭く対話を重ねていくことが必要です。
今までは工学部の参加者が多かったのですが、今回は他の学部・部局からの参加者も多く、こうした難しいテーマに対しても、お互いの知恵を出し合うことで、サステナブルキャンパスの実現に向けた、最適解を導き出す有意義な場となりました。
4.幅崎センター長による総括
GXサロンは設置当初より、それまでは縦割りになりがちだった各部局に横串を通し、多様な交流を通じて、新しい知見を紡ぎだしていく場を作ることを目指してきました。今回はまさにその目的にかなう、非常に有意義な会だったと思います。今後も、このサロンを、情報や意見を交わし、互いの知恵を出し合える緊密な協働の場として発展させていきましょう。

サロンの今後の展望と協働への期待を語る幅崎教授
5.今後の展開
本学のエネルギー効率化やサステナブルな施設運用を巡る議論は今回に留まらず、今後は定期的な情報共有と、より専門的なワーキンググループの立ち上げも視野に入れています。
当センターは、今後もこのような学内横断的な連携体制をさらに強固に構築してまいります。
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